今年の就活生は“超ホワイト志向” 「40歳で年収1000万円」「サビ残はイヤ」(Sankei Biz)

最近の各種報道の中から労働関連NEWSをピックアップしています。

≪記事要旨≫

●2019年春卒就活生は”超ホワイト志向”である。

●今年の就活生のこだわりでは「地域」「残業」「仕事内容」の3つがキーワード。

●人気業種であったメガバンクはAI導入による業務効率化により人員削減が報道されていることもあり人気が急落している。

●企業の人事側は不安を募らせており、採用活動の見通しについて「非常に厳しくなる」という回答が、前年より9.6ポイント上昇の45.3%になっている。

3月1日、就職活動が本格スタートした。昨年に引き続き、2019年春卒の就活も学生優位の「売り手市場」が続き、企業は人材確保に苦戦を強いられそうだ。一方、学生は内定をもらえるかという不安感が薄れ、企業を選別したいという大手志向が強まっている。そんな今年の就活生は”超ホワイト志向”だという。いま、彼らが入社したい企業とは-。(SankeiBiz 久住梨子)

◆転職サイトで口コミをリサーチ

 「19年卒の学生にヒアリングすると、『企業を選ばなければ内定は獲得できる』という意識が強く、まずは大手や有名企業を志望する傾向にあります」

 人材サービスのディスコで就活調査をする武井房子さん(キャリタスリサーチ上席研究員)によると、今年の就活生は、業界を絞らずに大手・有名企業を中心に志望する”大手志向”が強いという。先日、リクルートキャリアが発表した「2月1日時点の就職内定状況(速報値)」では、すでに4.7%の学生が内定を獲得していることも分かった。前年同月と比べ1.3ポイント上昇し、例年よりも”無い内定”の不安感が薄らぎ、大手・有名企業に挑戦しようという学生が多数見られるという。

 しかし、ただ大手企業なら良いという訳ではない。「大手や有名企業の中でも、さらに労働条件、給与、待遇がより良い企業に狙いを定めています。元社員らが口コミを書き込んでいる転職サイトで、実際の労働環境などをリサーチする学生は多いです」と武井さんは話す。

◆「40歳で年収1000万円」は当然!?

 そんな19年卒の学生を、武井さんは「超ホワイト志向」と指摘する。

大企業の賃上げムードを受け、「給与・待遇」を重視する学生が増加。ディスコが毎年行う調査では、就職活動の企業選び(複数回答)において「給与・待遇が良い」ことを軸とする学生は、19.7%(13年卒)から44.2%(19年卒)と大幅アップしている。武井さんによると、「MARCH以上の学歴の生徒からは、『40歳で年収1000万円の企業が前提』という声もよく聞きます」とのこと。

 他にも、今年の就活生のこだわりでは「地域」「残業」「仕事内容」の3つがキーワードになっている。まずは、転勤族になりたくないという学生が増えている。そのため勤務先が一部地域に限定されているエリア総合職や、都市部に集中しているIT企業の人気が高まっている。

 次に、電通社員の過労死事件や働き方改革の認知向上を背景に、「残業」を気に掛ける学生も増えているという。武井さんは「『サビ残(サービス残業)はイヤ』『残業は月40時間までなら』など、残業については具体的な声が届いています。働きやすさを意識する学生は増えています」と話す。また、「仕事内容」についても、営業職は避けたいなどの声が聞かれるという。

 「就活解禁前後の現状では、就活に強気な学生が多いです。ですが、選考が進むに連れて、自分の志望条件は理想が高すぎないかを見直すシーンが出てくるはずなので、3月以降は企業選びにおいても視野が広がるでしょう」(武井さん)

◆メガバン不人気は「今に始まったことではない」

 今年の就活において話題をさらう業界と言えば、メガバンクに始まる金融業界だ。AI導入による業務効率化により、メガバンク3行は今後10年間で計3万人超の人員削減が予想されている。ディスコの19年卒学生モニター調査では、昨年の志望業界トップだった銀行が4位に下がった。これについて武井さんは「今に始まったことではない」という。

「トップ陥落がかなりクローズアップされていますが、銀行人気の低迷はここ数年続いていることです。今年も前年より”控えめ”になった程度。モニター調査では志望業界を5つ選んでもらい、各業界ごとに志望率を出しています。これまではかろうじて5つの選択肢に銀行が入っていただけ」(武井さん)

 一方、人気トップに躍り出たのがIT業界だ。武井さんによると、「近年では楽天やソフトバンクなどの”メガベンチャー”と呼ばれるIT企業や、ゲーム会社の人気が伸びています」とのこと。

◆不安募る人事

 意気軒昂な学生を横目に、企業の人事は不安を隠せない。ディスコが企業を対象に行った調査では、採用活動の見通しについて「非常に厳しくなる」という回答が、前年より9.6ポイント上昇の45.3%に。「採用予定人数の確保よりも、学生の質を優先」という企業も、前年調査より5.3ポイント低下の74.7%と、調査開始の1997年以降で初めて7割台に下がった。

 「インターンシップで優秀な学生を囲いたいという企業も増えていますが、導入企業が増えたために学生が集まらないという状況に陥っています。また、これまで”意識高い系”の学生たちが参加していましたが、導入企業増加で”普通の学生”にも門戸が開かれ、『とりあえず参加しよう』という軽い気持ちの学生も増えました。企業からはインターン参加学生の質が落ちたという声もあります」(武井さん)

 今年は例年以上の短期決戦になると予想されている。面接などの選考は6月解禁だ。